第1回口頭弁論  2021年3月1日

2021年3月1日(月)に行われた第1回口頭弁論について、ご報告します。

当日に東京地裁に駆けつけていただいた皆さま、朝9時前にご参集をありがとうございました。地裁のロビーで簡単な打ち合わせ後に、一旦外に出て、地裁前で記念撮影をした後、横断幕を手に歩道を行進しました。報道関係の方も駆けつけてくださり、多数のカメラ・ビデオで撮影していただきました。

裁判には20~30名来ていただければと思っていましたが、開廷20分前の傍聴席抽選時には50名を超える方々がいらっしゃいました。抽選に当選しながら、傍聴券をお譲りいただいた方々、ありがとうございました。おかげさまで、小さな611号法廷でしたが、歴史的裁判の開始に立ち会うことができました。

【裁判の様子】

第1回裁判そのものは、通常の裁判でなされているような形式的なやりとりで終わりました。既に原告側の提出した訴状に対して、被告国側からは請求の棄却を求めて争う姿勢を示す答弁書が提出されていましたが、「追って理由は明らかにする」とする短いものでした。法廷では、被告国側の代理人から、「作為義務の根拠が訴状からは不明確である」旨の指摘がありましたが、裁判長とのやりとりのなかで、まずは被告国側が反論内容を明らかにしたうえで、その後に原告側が作為義務等を具体的に主張していくことになりました。そのやりとりを踏まえ、次回の裁判期日が4月20日に設定され、その1週間前の13日までに被告国が反論書面を提出することになりました。

その後、裁判長から「原告、意見陳述を」と求められ、原告の伊藤さんが立って、用意した書面を読み上げました。伊藤さんはかなり緊張されているようでしたが、自作の詩の朗読から始まり、入院中の思い、自分だけではなく自殺した仲間もいたこと、今も入院している人を出してあげたいと、伊藤さんがこの裁判に立った姿勢と明確な意思を述べました。しっかりと語られた思いの詰まった意見陳述の言葉は、聞いている者の胸に迫り、傍聴席で目頭が熱くなるのを止められませんでした。

その後、被告代理人弁護士の長谷川さんからの意見陳述では、原告の体験は原告だけではないこと、日本の精神医療の実態は同様の方が今も数万人いること、国は基本的人権が侵害されてきたことを漫然と放置してきたこと、この国の政策の被害者のひとりである原告の訴えを通して、国の責任を問う、と述べました。

【裁判報告会の様子】

閉廷後は、ロビーで待機していただいていた会員・支援者の皆さんと、隣接する弁護士会館に移動しました。佐藤弁護士に確保していただいた508号会議室で報告会を行いましたが、やはり50名以上の方々に参加していただき、満席で立ち見も出る状態でした。

報告会のZoom配信にアクセスしていただいた方も、20名いらっしゃいました。報告会前にお帰りになった方や、後から報告会に駆けつけていただいた方も含めると、約80名の方々に第1回口頭弁論・報告会に参加していただいたことになります。皆さまの思いのこもったご参加に、こころよりお礼申し上げます。

報告会では、Zoom配信の予告時間まで少し間があったため、副代表の杉山さんの発案で、月例会同様に参加者のひと言自己紹介から始まりました。参加者の一人からは「自分も原告になりたい」との声も挙がり拍手を浴びました。

その後、法廷に入れなかった方のために、改めて伊藤さんから意見陳述書を読み上げていただき、さらに長谷川弁護士からも代理人としての意見陳述書が読み上げられました。

これを受けて、参加者からの質疑応答を行いました。以下、質問の要旨のみ記しておきます。

・第1次提訴と言うことだが、第2次、第3次が予定されているのか?どちらの方か?

・福島県の精神科病院だったからなのか?都道府県格差があるのか?

・ホームページの更新が止まっているようだが、ネット等での情報発信がもっと必要では?

・裁判費用はどのように賄われているのか?

・被告国側の冒頭の問いにもあったが、立法不作為ないし行政の作為義務について、どのような根拠で釈明を求めていこうとしているのか?

・どのような争点になるかで異なろうが、今後の裁判で証人等を立てて行くのか?

・原告の伊藤さん、改めて法廷に立って、どのような思いであったか?

・第2次、第3次と原告候補が出ていることは、どのように受け止めておられるか?

・この場でワンコインカンパを募ってはいかがか?

・精神医療審査会が機能していないことがネックになっているのではないか?

・裁判官は、ずっと替わらないのか?

それぞれの質問に対して、簡潔に回答があった後に、今回弁護団を構成していただいた各弁護士から挨拶と所信表明をしていただきました。また、クラウドファンディングのCALL4についても、改めて紹介をいただきました。

おわりに杉山副代表、東谷代表から挨拶があり、最後は原告の伊藤さんから「今日は遠いところからお越しいただき、ありがとうございました。これからも施設症の方々のために戦っていきたいと思います。一人でも応援してくださるよう祈っています。宜しくお願いします」との挨拶で閉会となりました。

なお、次回期日は、4月20日(火)11時開廷ですが、裁判所から弁護士に連絡が入り、傍聴希望者数を踏まえて、法廷は大きな103号法廷に変更されました。今度は、50人まで入廷が許されますので、改めてご案内させていただきます。

また、報告会の場で参加者から提案していただいた「ワンコインカンパ」には、16,538円のご芳志をいただきましたことをご報告いたします。

これから長い道のりになるかと思いますが、どうか変わらぬご支援を宜しくお願いいたします。そして、この裁判に関心を寄せてくださる方々に、ぜひ入会と支援のお願いを広めていただければ幸いです。

引用元

古屋 龍太「精神国賠訴訟(第一次提訴)第1回口頭弁論の詳報」精神国賠通信,No.14;1-3,2021年3月発行

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