〈はっさく訴訟〉生活保護引き下げ違憲訴訟東京、勝訴

生活保護の支給額が2013年から段階的に引き下げられたことについて東京都の受給者などが、違法だと訴えていた裁判で、東京地方裁判所は「国の対応は合理性を欠き専門的な知見との整合性もない」として、支給額の引き下げを取り消しました。全国29か所で起こされた同様の裁判で、引き下げを取り消す判決は3件目です。
生活保護の支給額について、国は物価の下落などを反映する形で2013年から2015年にかけて、最大で10%引き下げました。

これについて東京都内の受給者など32人は「最低限の生活を保障した憲法に違反する」など訴えました。

2022年6月24日の判決で東京地方裁判所の清水知恵子裁判長は、引き下げにあたって国が行なった物価の下落に関する調整について「食料費や光熱費など、家計に重要な物価はむしろ上昇していて、生活保護の支給額が一般の低所得世帯の消費の実態より高くなっていたことは認めがたい。統計などの客観的な数値との合理性を欠き、専門的な知見との整合性もない」と指摘しました。
そのうえで「国の対応は裁量の範囲を逸脱、乱用していて違法だ」として支給額の引き下げを取り消しました。国の賠償を求める訴えは退けました。
また、憲法違反かどうかは判断しませんでした。

同様の裁判は全国29か所で起こされ、判決の言い渡しは11件目でしたが、支給額の引き下げを取り消したのは2021年2月大阪地裁と本年5月の熊本地裁に続いて3件目です。

原告の男性「やっと報われた」

判決のあと、原告の2人と弁護団が東京霞が関で記者会見しました。

原告の1人で東京葛飾区に住み、清掃業でパートをして働きながら生活保護を受給しているという46歳の男性は「提訴から判決まで7年かかり、食費や光熱費を節約するなどして、なんとか生活を切り詰め、歯を食いしばりながら過ごしてきました。勝訴となり、やっと北われたと感無量です」と話しました。
弁護団長を務める宇都宮健児弁護士は客観的な数値などをもとに専門的な検証を経なければ生活保護の支給額を引き下げられないという判断で画期的な判決だ」と述べました。
そのうえで、「大阪、熊本に続いて東京でも原告側の主張が認められた意義は大きく、今後の各地裁判に大きな影響を与えると思う」と話しました。

厚生労働省「内容の詳細精査し対応を」

判決については厚生労働省は「内容の詳細を精査し、関係省庁や被告となった自治体とも協議して対応を決定したい。今後も自治体と連携を図りつつ生活保護行政の適正な実施に努めたい」とコメントしています。

まとめ

・はっさく訴訟 名前の由来
8月1日に提訴を起こした、この日が八朔(はっさく)の日だったから『はっさく訴訟』と名付けた。

・代理人弁護士の交代
最初は白木敦士さんが代理弁護人をしていたがアメリカの学校に行く為、高田一宏さんに交代した。

・裁判長の交代もありました。
・訴訟には7年かかり判決が出ました。
原告で訴訟中に亡くなった方もいました。

・個人の感想は裁判は時間を要し長い闘いでした。裁判ではなく政治的判断として解決してもらいたかった。亡くなった方のご冥福をお祈りします。

主な参加者
・宇都宮健児さん(弁護士)
・稲葉剛さん(立教大学特任教授)
・白井康彦さん(元中日新聞記者)
・田川英信さん(元世田谷区職員)
原告代理人弁護士
・白木敦士さん
・高田一宏さん

(小峰)

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