対日審査2日目終了。法律論・制度論に終始する日本政府

障害者権利条約・第1回建設的会話の2日目の対面会議が終了しました。
ローズマリーケイエス委員長の挨拶、審査の議事進行予定が述べられた後に始まった会議は、昨日出された権利条約1条~10条に関するフォローアップ質問への回答、11条~20条までのフォーローアップ質問、21条~30条までの質問、その後に回答と続きます。
ところが1条~10条までの回答だけで時間が押してしまい、委員長による議事進行の介入が入って、残りは会議終了後24時間以内に文書で提出するように指示されました。次の11条~20条、21条~30条までに関する質疑に移り、これもまた回答途中で打ち切り、文書回答に。

片平さとし代表団長、本清耕造・在ジュネーブ大使の総括演説があり、
最後に、昨日のガミオ議長の重大な懸念に続いてキム・ミヨン副委員長(日本担当)からも重大な懸念が示されました。
すなわち、
・差別解消法での救済手続きが未確立
・障害者のインクルージョン・合理的配慮のための法的基盤がないこと
・手話が公式言語と認知されていない
・女性・女児への暴力や差別人権侵害があったことを含めてパリ原則に基づいた独立した監視システムがない
・選択議定書が批准されていない
・(障害者の)法的能力が制限されている問題
など

議事としての対日審査はこうして終わりました。

制度・法律のインフォメーションが問われているのではない。
その制度・法律のもとで何が行なわれているのか、行なわれていないのか。

なぜ、これほど多くの質問が出されたのでしょうか。

それは日本政府代表団が、法律の立て付けや、制度についての表面的な答弁に終始し、本質的な問題について何一つ語ろうとしなかったために、各国委員が何とか答えを引き出そうとして質問を行なったためではないでしょうか。
例えば、精神医療審査会。法律的には存在していると政府は主張している訳ですが、それが機能しているのかどうかは語らない。
実数・実態を問えば、これから調査すると言う。

法律だの制度のインフォメーションを聞いているのではない。その制度・法律のもとで何が行なわれ、何が行なわれていないかを聞いているんだ」各国委員はそう思ったことでしょう。だから、委員長が文書回答にして、各国委員からの質問提起を優先したのでしょう。


唯一語ったとすれば、「6月の検討会」(例の『地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会』のこと)でまとめられた報告書に基づいて、精神保健福祉法を改正する準備をしているということ。
精神科病院のリーダーシップで隔離と身体拘束を減らすのだそうな。

障害者権利委員会からの勧告は9月に出されます。

(文責:MAN)

対日審査2日目の模様

ローズマリーケイエス委員長

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