対日審査1日目終了。委員から疑念噴出

日本時間8月22日22時、日本からの120名の大傍聴団が見守る中、第1回障害者権利条約・建設的対話(対日審査)が始まりました。
それに先立ち、公式、非公式のブリーフィングが障害者権利委員会委員とNGOとで行なわれています。
A.ガミオ議長、片平日本政府代表団長、ヨナス・ラスカス副委員長(日本担当)のあいさつに続いて、各委員から総論的な質疑が出され、日本政府は各省庁の代表が答えていきました。

事前ブリーフィングの成果なのか、委員から鋭い質問が手を変え、しなを変えて飛びます。それに対して政府答弁は、これまで行ってきたこと、考え方を各省庁ごとに淡々と述べていくものでした。

印象に残ったのは障害者の参画に関して、厚生労働省代表から「2021年から開かれた検討会」に障害当事者が参画し、長年懸案であった事柄について、一定の方向性が見いだせた。と述べたこと。この「検討会」とは「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会」のことだと思われます。医療保護入院について廃止の方向で検討されていたものが、最後に日精協・山崎会長が出てきて、ひっくり返した、例の検討会のこと。ここで出された「一定の方向性」とはどういうことなのだろう。

手話などの情報アクセスビリティについての質問には、新しい法律を制定したと答えたのみでした。

各国委員から出された質問は以下のようなもの。

 
啓発活動は、人権モデルに則っているのか?
自由を保証するのは、いつになるのか?
虐待防止の具体的措置は?
社会的インクルージョンの具体的な方法は?
司法へのアクセスの保証は?
法的な保証をする計画は?
脱施設の選択の自由への具体的な日程は?
移動手段は?
(移動の自由は理解されているか?)
 
障害のある女性は、参画しているか。
手話などの包括的アプローチは?
加害者は起訴されているのか?
公的機関、アクセスは十分か?
強制介入について。
50万人が施設、病院、など閉鎖空間に住むことに対して。
普通学校へのインクルーシブは?
医療モデルが根強い、社会モデルへの移行は?
差別禁止強化。
 
差別的な言葉が残る。
特別支援教育と普通教育が選べるように。
自由意志でない入院について、原因を調査すること。
貧困ビジネスがあり公的コントロールがない。
成年後見法の管理もされていない。
5条の差別解消の措置は?
災害の下での避難計画は?
福祉避難住宅の具体案。
具体的な合理的配慮は?
 
ヤマユリ後の啓発は?
精神科の地域移行の予算は?
施設収容は5条、10条の生命権に抵触。医療も不足。
13条、強制的な投薬については?
苦情を訴える制度がないこと。
対策と予算は?
優生保護法の補償。
11条、気候変動などの活動に関わっていますか?
 

各省からの回答が終わったところで、ラスカス副委員長、議長から重大な懸念が示されました。

すなわち、

1 医療保護入院について
緊急避難的措置入院でもなく、自由意思による入院でもない特殊な形態であること。長期入院の問題、身体拘束数がこの20年で2倍になっていること。重大な人権侵害の懸念があること。
その廃止に向けたロードマップが示されていないこと。

2 インクルーシブ教育について
世界的に進む教育のインクルーシブ化に反して、分離教育が進んでいること。

3 脱施設化について
今なお、多くの障害者や施設に“隔離”されていること。グループホームという形態は施設の一つの形態ではないのか。

といったものでした。これに基づき、各委員から質問が出されて、1日目の『対話』は終了しました。

2日目はこれらの疑念に日本政府が答えるところから始まります。2日目は現地時間、午前10時、日本時間の午後5時から始まります。(日本にいる視聴者を意識した日程に違いない!!)

(文責:MAN)

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