第9回口頭弁論、傍聴満員の中開廷
11月29日、第9回口頭弁論が開廷しました。新型コロナウイルス感染症拡大による人数制限が解除された103法廷は、ほぼ満席となりました。
この日は、第7回、第8回口頭弁論で原告が提出した主張に対して、被告が反論しました。準備書面(5)が被告から提出されました。
医療保護入院の制度が、長期入院を生み、精神障害者の隔離をもたらしている。隔離収容目的に使われているのではないか、という主張には、「医療及び保護のために入院が必要であると認められる場合に行なわれているので、本人の利益を図ることが目的」というように、法の立て付け・法律論に終始し、現実に何が行なわれているのか、一言も触れていない。
過去何度も国会で議論されたにもかかわらず、何も変わらずにきた立法の不作為については触れることもしなかった。
一般的、抽象的な法律論をもって、反論とし、これ以上の反論はしない、と明言しました。
これに対して、私たちは、現実に病院で何が行なわれており、何が行なわれていないのか。40年に及ぶ長期入院は原告・伊藤時男さんにだけ行なわれていないことを、具体的な証言で立証したいと考えています。
傍聴し、その後の報告会に参加したMさんから感想が寄せられました。
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何人か知り合いが足を運んでくれ、
・実際に参加して、現状の酷さを再認識した
・国民の多くが真実を知り、オカシイと疑問を持ち、意思表示しなければ変わらない
・伊藤さんのような当事者が先頭に立つことは最もアピール力がある
・伊藤さんの姿に感動した
・SNS等も大いに活用しながら、原告の主張に弾みをつけて行けると良いのではないか
・「国は誤らない」という揺るぎない大前提を崩す為には、目を逸らすことの出来ない「誤り」の事実を突きつけて見せるしかないのだろう
等の感想も寄せていただきました。
私自身は、国に責任がないとするなら、いったい何が問題だったというのだろう? 病院のせい? 家族のせい? 病気のせい?
国の反論については、まず「医療保護入院の目的は・・・適正な医療を提供し、もって本人の利益を図ること(→隔離収容目的ではない)」とありましたが、適正な医療? 本人の利益? 現実はむしろ逆じゃないの?と、初っ端からなんじゃこりゃでした。
また、医療保護入院の要件については、そう言えばこの度の法改正で、「市町村長同意」という要件があったりしますが、都道府県知事も含めて、首長たちが、障害者権利条約およびその勧告を踏まえ、「こんな人権侵害な制度の同意者にはなれません」と、同意あるいは制度自体を否定してくれる・・・なんてことはないのか、と妄想したりしていました。
国はもう反論する気がないそうなので、次回ぜひ「目を逸らすことのできない実態、国の誤り」を突き付けられますよう、また多くの国民の後押しを得られますよう、私も自分のできることを見つけて動いていけたらと思っています。