映画「夜明け前のうたー消された沖縄の障害者」上映会

日本にはかつて「私宅監置」という,精神障害等のある人を住居の一画に鍵のかかる小屋など
を設置し,家族の責任で社会から隔離する制度がありました.戦後 1950 年に精神衛生法の制定と
ともに私宅監置の制度は廃止されましたが,米軍に占領された沖縄では 1972 年まで私宅監置が
行われていました.
沖縄で私宅監置被害者たちの写真と出会った原監督は,隔離され続けた被害者の声に耳を傾け,
社会から消されようとしている人たちの姿をこの映画でもう一度社会に伝えたいと考えました.
もっとも声の上げづらい人たちの声を社会に届けたいという原監督の思いに共感し,上映会を開
催することにしました.

「私宅監置」の制度はなくなりました.しかし,鍵のかかる精神科病棟の中で生き続ける人た
ちがいます.それは精神医療・保健福祉の構造的な問題が解決されないままだからです.不都合
な真実を忘れてはいけない,この事実から目を背けてはいけない,この映画を通じて,私たちの
中にある差別意識や優生思想に自覚的になり,精神医療に残されている隔離・収容政策がいかに
人権を踏みにじっているのか,考える機会にしたいと思いました.

この映画は 2021 年に文化庁の映画賞を受賞しました.しかし,映画に登場する私宅監置被害者
の家族からの苦情で,文化庁は記念上映を取りやめました.上映中止では真の問題解決にはつな
がりません.文化庁は苦情の背景に何があるのか,話し合い,共に考えることこそ重要だったの
ではないでしょうか.精神障害のある人をめぐる貧しい社会制度こそが家族に重たい荷物を負わ
せ続けているという現状も変えなくてはなりません.

私たちは私宅監置の被害を過去のことにせず,精神医療の構造的問題を解決する端緒にしたい
と考えています.国連の障害者権利委員会は,日本の精神医療を抜本的に変革するよう勧告して
います.沖縄の私宅監置被害者の「うた」に耳を傾け,これからの日本の精神医療のあり方を考
える機会にしたいと思っています.上映終了後にトークを行います.ぜひ多くの方に会場に足を
運んでいただければと願っています.

上映予定
2023 年 4 月 27 日(木)
レイボックホール(市民会館おおみや)
〒330-0846 さいたま市大宮区大門町2-118 大宮門街4-8F


第 1 回 上映:14 時~
トーク:15 時 40 分~ 佐藤晃一さん(やどかりの里ピアサポーター)×原義和さん
(約 30 分)
第 2 回 上映:18 時 30 分~
トーク:20 時 10 分~ (調整中)×原義和さん
2023 年 4 月 28 日(金)
第 1 回 上映 14 時~
トーク:15 時 40 分~ 岡田久実子さん(全国精神保健福祉会連合会)×原義和さん
第 2 回 上映:18 時 30 分~
トーク:20 時 10 分~ 芝田英昭さん(立教大学)×原義和さん

主催:公益社団法人やどかりの里

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