精神国賠研会員が直接携わった図書を紹介します。

精神病棟40年 (宝島SUGOI文庫)
時東 一郎:著
織田 淳太郎:解説
精神病棟に暮らす時東一郎さん、60歳。16歳のときに統合失調症を発症して以来、入退院を繰り返しながら実に40年以上もの歳月を、病院の厳重な管理のもとで暮らすことになりました。「電気ショック」の懲罰、一瞬にして患者を無気力にさせる劇薬投与、牢名主の患者と女性看護師との院内SEX……本書は、時東さん自身が見て体験した無縁社会の「現実」を、赤裸々に綴った衝撃の手記です。
出版社 : 宝島社 (2013/4/4)
発売日 : 2013/4/4
言語 : 日本語
文庫 : 238ページ
ISBN-10 : 4800209188
ISBN-13 : 978-4800209184
¥1350
※著者『時東一郎』は原告・伊藤さんのペンネーム
精神医療 第8号(「にも包括」って何なん?)
平成29年2月の「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」報告書では、「地域生活中心」という理念を基軸としながら、一層の地域移行を進めるための地域づくりを推進する観点から、精神障害者が地域の一員として、安心して自分らしい暮らしができるよう、医療、障害福祉・介護、社会参加、住まい、地域の助け合い、教育が包括的に確保された「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」(にも包括)の構築を目指すことを明確にした。 厚労省は、平成29年度から都道府県等自治体に対する補助事業(構築推進事業)と自治体の取組みを支援する委託事業(構築支援事業)を実施することにより、にも包括の構築に向けた取り組みを進めてきた。事業開始当初10項目であった構築推進事業のメニューは、現在では14項目に増えている。令和2年3月には「にも包括の構築に係る検討会」を設置し、にも包括の基本的な考え方、重層的な連携による支援体制の構築、普及啓発の推進並びに精神保健医療福祉、住まい及びピアサポート等の同システムを構成する要素についての検討を行った。 令和3年10月に発足した「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会」の報告書(令和4年6月)の中でも、にも包括のより一層の推進が謳われている。一方で、にも包括の主体であるはずの市町村が、精神保健に関する相談支援を積極的に担うための法制度の整備や、その市町村に対する「重層的な」支援を期待されている保健所・精神保健福祉センターなどの具体的な役割も、現段階ではまだ明らかでない。
いずれにせよ、にも包括は現在のわが国の精神保健・医療・福祉の中心的なテーマであり、国が目指す地域共生社会を作り上げるための最も重要な道具の一つであることは間違いない。それにも関わらず多くの精神科医療関係者が未だに「『にも包括』って何なん?」という基本的な疑問から脱しきれていないのが実態ではないか。特集ではこの「にも包括」を取り上げ、その目指すもの、現時点での実態、そして今後どのように具体的な形を結んでいくのかを改めて考えてみたい。
出版社:(有)エム・シー・ミューズ (2023/1/20)
発売日:2023/1/20
単行本:128ページ
ISBN-10:4904110315
ISBN-13:978-4904110317
¥1870
精神医療97号: 医療保護入院――制度の廃止に向けて
古屋龍太, 太田順一郎
『精神医療』編集委員会 (編集)
◆措置入院(94号=特集)・医療観察法(96号=特集)、そして医療保護入院制度(強制入院)が長期入院患者を遷延化し退院・地域移行を困難にしている。なかでも医療保護入院は、2013年度の精神保健福祉法改正により、保護者制度の廃止とともに、退院後生活環境相談員を配置し、退院支援委員会を設けることなど地域移行支援が病院長に義務付けられた。しかし、近年では入院患者の約半数が医療保護入院となり、諸外国に比しても突出して強制入院が多い日本の恣意的で曖昧な制度活用は、社会防衛のために患者を隔離収容する精神科病院大国・人権後進国ニッポンの象徴的制度となっている。
◆そもそも、自傷他害の恐れはない本人の「医療及び保護」のための入院治療とは何なのか? 医療保護入院制度は、誰のためにある制度なのか? 医療保護入院は、なぜ今も存続しているのか? 医療保護入院制度の全廃は、この国で可能なのか? 日本の精神医療改革の大きな足枷になっている医療保護入院制度の問題点を指摘し、制度廃止の可能性を検証する。
精神科病院と地域支援者をつなぐみんなの退院促進プログラム:
実施マニュアル&戦略ガイドライン
古屋龍太, 大島 巌
出版社:ミネルヴァ書房 (2021/1/19)
発売日:2021/1/19
言語:日本語
単行本(ソフトカバー):176ページ
ISBN-10:4623089541
ISBN-13:978-4623089543
長期にわたり精神科病院に入院している人々が,退院して地域で生活できるようにするために必要な手立てを,プログラム評価理論の観点からわかりやすくまとめた,一線で取り組む実践者たちの知恵の集積。
支援者がどのような取り組みをすればよいのかがわかる「実施マニュアル」と,病院と地域と行政が支援ネットワークを形成して連携・協働していくための,圏域の特性にそった「戦略ガイドライン」で,みんなで明日から取り組める。