2020年9月30日の東京地裁への提訴を前にして、9月20日に原告の伊藤時男さんにインタビューを行ないました。インタビューアーは当会代表の東谷です。

動画に出てくる用語解説

不作為責任〈ふさくい せきにん〉

不作為とは、あえて積極的な行為をしないことです。そのままでは不利益をもたらす事を知りながら、それを放置していた責任を不作為責任といいます。
何らの正当な理由がなく長期間入院を強いられ、多くの不利益をこうむった人がいます。
その事実を知りながら、改善させる立法上・行政上の措置をとらなかった国には、それによって受けた不利益を賠償する責任がある、と私たちは考えています。

院外作業〈いんがい さぎょう〉

長期間入院している精神医療の患者が便宜的に病院外の事業所に通勤し行なう作業。「社会復帰を目的とした就業訓練であり,治療措置でもある」とされ、今も行なわれています。

結核性肋膜炎〈けっかくせい ろくまくえん〉

現在は胸膜炎といいます。両肺の表面を覆う薄い膜のことを胸膜といい、この膜に炎症が起きる状態を胸膜炎といいます。胸膜炎のうち
結核菌の感染によって起こる胸膜炎を結核性胸膜炎といい、一般には肺内に結核病巣があり、それが胸膜に波及して発症します。

作業療法〈さぎょう りょうほう〉

身体または精神に障害のある人に対して、社会に適応するための能力や生活していくために必要な動作の回復をめざす治療の一つ。
作業には、日常生活活動、家事、仕事、趣味、遊び、対人交流、休養など、人が営む生活行為と、それを行なうのに必要な心身の活動が含まれます。この作業に焦点を当てた治療法です。

施設症〈しせつしょう〉

施設病ともいう。施設や病院など、閉鎖的な空間で介護や治療などを受ける環境に、長い間いることにより起こる心身の症状のこと。
ホスピタリズムとも呼びます。無表情や情緒不安定、社会性の低下などの症状がみられます。

試験外泊〈しけんがいはく〉

主治医の許可のもと、入院中に外出・外泊を行なうこと。一般に円滑に在宅生活へつなげるプロセスとして重要な役割を果たしています。

社会的入院〈しゃかいてきにゅういん〉

単に「長い入院」のことではありません。必ずしも治療や退院を目指さない、長期入院のことです。 医学的には入院の必要性がないにも関わらず、生活上などの都合により入院生活を続けてしまうこと、あるいは入院生活を強いられてしまうことです。 特に精神科病院での超長期入院が問題になっています。社会的入院にはホスピス等終末医療による長期入院は含みません。