詩集 お家に帰りたい─精神科長期療養病棟の人びと

前澤ゆう子

「お家に帰りたい」
母は それを息子には言えず
ずっと ずっと 我慢している
もう十数年間も 我慢している
「いつ 帰られるのだろうか?」
というナースへの問いは
今ではもう聴かれない
――「お家に帰りたい」より抜粋
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精神科病院の長期療養病棟において,人生のほとんどを「入院患者」として生きることを余儀なくされた人びと――社会的入院者たち。
「病」は,それぞれの抱える事情と密接不可分なもの,それは,この社会からドリップコーヒーのように滴り落ちる苦くてふかい涙,病院は,苦くてふかい涙を集めたプール――
精神科病棟で准看護師として勤務していた時の情景を,詩作品21編に昇華させた。「お家に帰りたい」――この根源的な祈りとともに,人生の痛みと人間性への慈しみが魂に響く。

出版社:やどかり出版
発売日:2024/11/30
言語:日本語
四六判:106ページ
¥1000+税

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