控訴審結審

第2回口頭弁論が開かれました。
今回の裁判は、前回第1回口頭弁論で被告・国より出された「控訴答弁書」に対して反論の機会を設けるよう裁判所に要請し、それが受理されたため開かれたもの。3月19日に弁護団が提出した反論書=「準備書面1」が正式に受理されました。
これは、控訴答弁書は主に、伊藤さんが退院したい旨の申し出を「精神衛生法等の規定に則した退院の申し出として解するのは困難」であり、「退院に向けた準備をしたい旨の希望」と解釈したことについて反論したもの。

その概略は
① 精神保健法の任意入院の規定では退院の申し出は広く認められるべきとされている。にもかかわらず、国が解釈によってその規定を狭めることは相当ではない。むしろそのような解釈を行なっていることが長期入院者や社会的入院者を生み出してきた。
② 事実認定としてもこのような解釈をする必要はない。伊藤さんが抱いていた就労等の不安は年金や生活保護等によって解消できるはずであり、退院の準備と解する必要はない。
③ 仮に退院に向けた準備したい旨の希望だとしても、その後10年以上にわたって、その準備が放置されてきたことの責任は国にあり、放置されたこと自体が異常である。
④ 精神保健法以降、法の運用実態は法学者が想定していた基準を下回ったもので、国の人権軽視に対して司法の場において問責されるべきである。

原告弁護団が申請していた証人尋問は、その必要性はないとされ、却下されました。そのうえで弁論終結とされ判決期日が決定されました。

判決期日:7月10日木曜日、午前10時30分、101法廷

口頭弁論終了後、場所をビジョンセンター有楽町に移して報告会が開かれました。裁判の流れなどの説明は、長谷川弁護団長に代わって古屋国賠研運営委員長からなされました。
その後活発な質疑応答があり、報告会は終了しました。

裁判官から控訴記述に関する話題がなかったこと、証人尋問が却下されたことから、判決は厳しいものが予想されますが、1審判決にような精神障害者への偏見に基づくことなく、公正な審理を期待したい。
カルテに入院形態の記載がなければ、強制入院であると立証されないのであれば、病院はやりたい放題になると考えられないのでしょうか。

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